森田 浩介
仕入れ担当の森田です。
丹波市柏原町の八幡神社(厄神さんで有名です)には有名な狛犬があります。江戸時代の名工でこの地に由来する丹波佐吉の作品です。
丹波佐吉は、生まれは現在の朝来市竹田あたりで、幼少の頃に柏原町の難波金兵衛の元で育てられました。ただ、難波金兵衛の所に長男が生まれたため、彼は旅の石工として出て行く事になりました(『旅の石工(金森敦子著)』より)。この当時は、石工といえば大阪の和泉が多かったようで、佐吉もそちらで腕をふるっていたようです。ここ柏原にある狛犬も和泉石で出来ています。文献によれば、おそらく狛犬は大阪で作られ、船で運ばれたとされています。
さて和泉石は和泉砂岩とも呼ばれ、砂のように細かく彫刻に最適の石です。特に狛犬のような細やかな細工があるものには多く使われています。
この和泉石ですが、実は今でも採石されています。文化財の復元等で時折使用されています。
色はやや茶色の柔らかめの石(主に石彫刻用)と青みのある石(主に墓石用)の2種類があります。
今になって、この石をお墓に使う理由はあまりありません。この当時は道具が今とは違ったため(昔は鉄のノミ、今はタンガロイという合金のノミ)、加工のしやすいこの石はとても重宝されました。今の石の方が硬く、磨くとツヤもでます。
しかし、今、この石を見るととても美しく見えます。マットな仕上がりは上品です。
この石で作られたお墓を時々見かけます。
最近の石のようにピカッと光るツヤは出ませんが味わいがあります。もしご先祖様がこの石だったら、一度選択肢に入れてもいいかもしれませんね。