先祖代々のお墓には誰が入れるの?

2022年03月18日 08:00

河合 邦彦
河合 邦彦

滝野店の河合です。

先日、友人から「兄が実家継いでるけど、自分は実家の墓に入れるのか?」と質問があり、ちょっと調べてみました。

結論からいうと、お墓には、お墓の承継者と墓地管理者が許せば、誰でも入ることができます。

お墓の承継者とは、墓地の使用権を継いでいる人です。墓地の名義人(永代使用権者)になっている人です。
墓地の使用権利者がその上にお墓を建てて、これを所有します。

一方、埋葬に関しては墓地管理者の承諾のもと行います。
自分でお墓を所有していたとしても、遺骨を埋葬するときは管理者の許可が必要です。
ただし、墓地の利用規約では多くの場合で、納骨できる人の範囲を定めています。
自分がお墓に入れるかどうかは、墓地の契約書を参照するか、管理者に問い合わせて確認しましょう。

また、平成12年に発行された厚生労働省の「墓地使用に関する標準契約約款」(参考:墓地経営・管理の指針等について)では、「使用者の親族及び縁故者」と記載されています。

慣習では、お墓には長男とその家族が入るのが一般的です。
次男・三男は分家の初代としてお墓を立て、長女・次女は婚家のお墓に入ります。

ですが、法律上は、お墓に入れる人や承継する人について、続柄を指定する規定はありません。
お墓に関する法律には「墓地、埋葬等に関する法律」がありますが、これにはお墓に納骨できる人の範囲についての規定がありません。

また、お墓の承継者については、故人が指定できるとされており、指定が無ければ慣習に、それも分からなければ家庭裁判所に従うとされています。
つまり、故人が長男以外の人を指定すれば、その人がお墓の承継者になります。
お墓は法律上「祭祀財産」というものに含まれますが、これは民法で以下のように規定されています。

民法(897条)
「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、相続分の規定によらず、慣習に従って祖先の祭祀を主催すべき者がこれを承継する。但し、被相続人の指定に従って祭祀を主催するべき人があるときは、その者が承継する」

・次男は本家の墓に入れるか?

一般的に、次男や三男は分家の初代として新しいお墓を建てます。
しかし、以下のような場合は本家のお墓に入ることが多いです。

次男が本家の墓に入りやすいケース

  • 未婚である
  • 結婚したが、離婚している
  • 結婚しているが、子供がいない

既婚で子供がいない場合は、妻と一緒に本家の墓に入ることができます。
逆に、子供がいる場合は本家の墓に入ることは珍しいでしょう。

・娘は実家の墓に入れるか

通常、女性は結婚していれば婚家のお墓に入ります。
ただし、以下のような場合では、実家のお墓に入ることが一般的です。

娘が本家の墓に入りやすいケース

  • 未婚である
  • 結婚したが離婚して苗字を戻している

離婚して苗字を戻していない場合については、墓地によっては苗字が違う人の納骨を認めていないことがあるので確認しましょう。墓石に現在の姓を別に彫刻するなどの対応が必要になることもあります。
なお、子どもが両親どちらの墓に入るかは、本人に決める権利があります。

・親戚はどこまで同じ墓に入れるか

何親等までの親戚がお墓に入ることができるかは、霊園の規則によります。
民営霊園では6親等まで入れるところが多いようです。
寺院墓地では2親等、3親等、あるいは1家系と決めているところもあります。

・叔父や叔母は本家のお墓に入れる?

親戚がお墓に入れるかで最も話題に出るのは、叔父・叔母だと思われます。

実家の墓を長男が子どもに承継している場合、甥や姪の一家が管理しているはずです。
叔父・叔母は3親等ですので、墓地の規則から考えてもおおむね問題ありません。

しかし、自分のお骨のお世話を甥や姪の一家にさせるのは、気が引ける方も多いのではないでしょうか。
管理規則に抵触しないのであれば、あとは甥や姪との関係と自分の心の持ちようです。

やはり実家の墓に入りたいのであれば、お墓を承継している一家に相談してみましょう。

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