滝野店スタッフの河合です。
皆さんの家の仏壇におりんは有りますか?仏壇の上には必ずと言っていいほどおりんが置かれています。
おりんは梵音具といいます。音を出す仏具のことをいい、木魚やお寺の鐘も梵音具に属されます。
楽器のように叩くと音が鳴りますが、おりんは楽器ではなく正式な仏具ですので丁寧な取り扱いが必要です。
私の小さい頃はよく祖母がお勤めするのを横で真似て拝んでいました。
その時に「ケンケン鳴らして」と言われていたのを思い出します。力加減が解らず叩いていたので、祖母はヒヤヒヤしていた事でしょう。
家庭用のものと寺院で使用されるものは違い、寺院用のものは磬子(「けいす」または「きんす」)といわれ、色が黒く縁もとても厚くつくられています。
おりんがリーンとかわいらしい音が鳴ることに対して、磬子はゴーンと低い音が鳴ります。もともとは禅宗で使われていた仏具ですが、現在はすべての宗派で使用されています。
漢字では「鈴」や「輪」と表されますが、すずと区別をつけるために「リン」や「りん」のようにカタカナやひらがなで表記されることが多いです。名前の呼び方は宗派によって少し違いがあり、日蓮宗などは鈴(りん)、天台宗や浄土真宗では鏧(きん)、浄土宗では小鏧(しょうきん)、その他には鐘(かね)と呼ぶこともあります。
おりんは叩くととても澄んだ美しい音を響かせるのが特徴で、その音は極楽浄土の仏様の耳にまで届くといわれています。
また人々の邪念を払うともいわれており、仏様や先祖、故人への純粋な祈りや供養の心を澄んだ音にのせて伝える役割を担っています。
しかし、長く使っていると当然汚れもつきますし、錆もついてきます。おりんは仏具なので、丁寧にお手入れをして大切に扱う必要があります。
表面に着色やメッキの加工がされている場合はやわらかい布でやさしく磨き、くすんできたら専用の艶出し剤を使用すると、もとの色を取り戻せます。
着色やメッキの加工がないものであれば、研磨剤を使用する方法も効果的です。金属磨き用のものか、専用のクリーナーを仏壇仏具店で購入することをおすすめします。
新聞紙ややわらかい布に研磨剤をつけ、おりん全体にまんべんなく塗ります。やさしく磨いていき、研磨剤が汚れで黒ずんできたら乾いた布で拭き取れば完了です。
おりんが傷まないように、素材をよく確認してから研磨剤を使用してください。
また、錆を落とす方法として昔祖母から聞いた『お酢』を使う方法もあります。
やり方はいたって簡単で、料理用のお酢におりんを浸けておくだけです。しばらく浸けておくと錆が浮いてお酢が黒ずんでくるので、錆がとれたらよく水洗いをすれば完了です。
おりんの澄み渡った美しい響きは私たちの心を清らかにして、極楽浄土にいる仏様やご先祖様、故人に祈りや供養を届けてくれる大切な役割を担っています。
目にする機会の多い仏具で、鳴らすと誰でも簡単に音を出すことができますが、だからこそその役割や意味をよく理解して長く大切に使っていきたいですね。