無縁墓とは、お墓を管理する継承者が長い期間いないお墓のこと。
たとえ縁故者がいたとしても管理費の滞納や支払いの拒否などによって無縁墓となるケースもあります。
家族や供養のあり方の変化から無縁墓の数は年々増加し、撤去費用などが大きな社会問題となっています。
お寺などでは管理者がいない場合、撤去することを検討します。
しかし、無縁墓を無断で撤去すると、法律違反にあたります。
そのため、決められた手順をきちんと確認しておくことが重要です。
まず、撤去を検討する無縁墓の所有者・継承者を探すことからはじめます。
お寺や墓地委員などで管理している名簿などがあれば連絡をとり、今後の管理について話し合いをもちます。
連絡先が分からない場合は、戸籍などから調べられる住所へ書面で連絡します。
この手続きは専門の資格が必要となるため、行政書士などに相談しておきましょう。
次に、書面での連絡もとれない場合は、官報で無縁墓の撤去を報告します。
官報とは国が発行する公的な新聞のようなもので、公的機関の情報などが記載されています。
無縁墓の撤去をする際も、まずは官報に掲載しましょう。
官報への掲載とあわせて、撤去する無縁墓に立て札と貼り紙をします。
無縁墓の権利者に向けて、撤去することを伝えるもので、お墓の見やすい位置に立てるようにしましょう。
ここでポイントとなるのが、定期的に写真と記録を残しておくこと。
設置した日から、継続して権利者への呼びかけをしていたことを証明する必要があります。
写真だけでなく、書面で記録を残しておくとよいでしょう。
官報への掲載と立て札・貼り紙の設置から一年たっても、権利者から何の連絡もなかった場合、はじめて無縁墓を撤去する申請を行えます。
申請には、「改葬許可申請書」が必要となり、市区町村の役所へ提出します。
次の書類が必要となるので揃えておきましょう。
- 墓地管理者の証明書。
- 無縁墓の写真およびお墓の位置図。
- 権利者からの連絡がなかったことを記載した書類。
- 官報のコピーおよび立て札の写真。
- その他市区町村が指定した書類。
あわせて継続して立て札を設置していたか確認を求められることがあります。
定期的に撮っておいた写真と記録もまとめておきましょう。
すべての手続きが完了し、改葬許可をもらうと、無縁墓の撤去を行えます。
お寺や石材店などと相談して、日程などを調整していく流れになります。