大島石の国内加工と中国加工

2017年04月10日 08:00

森田 浩介
森田 浩介

仕入れ担当の森田です。

関西では昔から高級石材とされている大島石。
人気がある故に、とても多くの工場で加工されています。特に2000年以降は中国加工(いわゆる逆輸入)もあります。今回は、そんな大島石のことについてお話します。
大島石の加工には、大きく分けて3種類あります。
①日本の工場で加工されたもの
②日本の業者が石を中国へ輸出し、中国の協力工場で加工したもの
③中国の業者が日本で石を買い、中国の工場で加工したもの
いずれも本物の大島石です。
【日本の工場で加工されたもの】
主に、香川県の庵治産地や岡山県の北木産地が一般的です。もちろん、山に近い愛媛県内でも加工されています。昔から長く取引されている業者が多く、時には価格以上の物が出来ることもあります。そんな時には「このお客さんラッキー」と心のなかで思ったりもします。
国内加工の特徴は、
①採石場に近いため輸送コストが安い
②問題があれば取替えやすい
③研磨工程にこだわりがある事が多い
④蓮華や大入れ加工など、伝統的な形は専門の職人なので美しい
【日本の業者が石を中国へ輸出し、中国の協力工場で加工したもの】
一般的に委託加工と呼ばれます。日本の加工費用に比べて少々安くなります。中国の石材加工技術は高く、特に洋型の特殊な形状や手間のかかる仕事は、日本ですることを考えれば遥かに安価になります。あと、問題があってもすぐに対応できにくいため、材料は大きいものを輸出しています。大きな材料というのは、なかなか採れないため数多くある大島石の丁場の中でも、使用できるものは限られています。石の選定は日本の業者が見定めています。
①大きな材料で安定した石
②特殊な加工は安価に提供できる
③製品レベルは国内加工とほとんど変わらない
④石を選ぶのは日本人
【中国の業者が日本で石を買い、中国の工場で加工したもの】
委託加工の場合とほとんど変わりません。違いは、中国の方が原石を選定することです。彼らも石のプロですから確かな目で選定します。最近の中国企業には資本力がありますから、ドーンと大量に原石を買い付けて自社工場で加工する場合が多いです。
①大きな材料で安定した石
②特殊な加工は最も安価に提供できる
③製品レベルは国内加工とほとんど変わらない
④石を選ぶのは中国人
どの加工をされても、信頼できる石材店からお買い求めになる場合には、心配はありません。注意したいのは出所の分からない石です。流通経路が複雑になればなるほど、出所の分からない石が増えてきます。本当なら使えない石が薬品処理で使われたりすることも、残念ながら無いとはいえません。『お墓選びは石材店選び』からです。本当に信用できる石材店でお買い求め下さい。安すぎるものには必ず理由があります。
当社では大島石を選んでいただく際に、国内加工と中国加工を選んでいただいております。
「やっぱり日本の石は日本人に作ってもらいたい」
「同じ石なら、品質が確かであれば誰が作っても構わない」
など、ご意見は様々です。
私は可能な限り国内加工をおすすめしたいと思っています。中国加工ももちろん心配はありません。ここには表現しづらいですが、細かなことは、やはり国内加工の方が安心できるところがあります。あとは日本の一流の加工技術が継承されなくなってしまうのも困るからです。そんな意味で、あえて国内加工にすることもあります。大島石をお選びになる際には、ぜひ参考になさって下さい。

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