滝野店の中村です。
前回に引き続き今回は「菩薩編」です。
仏像界のNo.2、庶民から圧倒的な支持を受ける「菩薩」グループです。
得も言われぬ微笑み、頬杖をついて瞑想する「弥勒菩薩」。
皆さんお馴染みの観音様こと「観世音菩薩」。
お地蔵様も実は「地蔵菩薩」。
企業の役職でいうと部長などの中間管理職にあたります。
如来が悟りを開いているのに対し、菩薩は悟りを目指して修行中の身。上を目指しながら苦しむ人々を救う仏とされています。
菩薩というのは修行僧という意味のサンスクリット語、「ボーディ・サットヴァ」がもとになっているそうです。
釈迦の次に悟りを開くとされているのが弥勒菩薩。とは言っても悟りを開くのは「56億7千万年後」だそうです。。。
如来は大学教授や裁判官のように難しい語り口で教えてくれますが、理解しがたい人がいます。そこで菩薩は同じことをわかりやすく説いてくれる存在で、庶民にとってはより身近な存在でした。
しかし、全ての人を救うには如来だけでは手が足りません。そこで菩薩は如来の脇に立ち、ユニットで作られることが多かったそうです。例えば釈迦如来の横には「文殊菩薩」と「普賢菩薩」。「文殊菩薩」が知恵をつかさどり、「普賢菩薩」が修行をつかさどります。「三人寄れば文殊の知恵」はこの文殊菩薩が由来となっています。
如来が座っているのに対し、菩薩は立っていたり、動物に乗っていることが多いです。これは少しでも早く救えるようにこのような姿をしているのだそうです。
このほかにも菩薩は美しい布をまとっていたり、多彩なアクセサリーをつけています。これは釈迦の出家前の王族時代の姿を表しているそうです。
このようにより身近な存在として、特に鎌倉時代以降人気が急上昇しました。中でも「観世音菩薩」は優しそうな外見と相まって爆発的な人気があったようです。ちなみに観世音菩薩は男性でも女性でもないのですが、より優しい外見にするため女性をイメージして作られています。
菩薩はあまりの人気に単独で活動するようになり、人々の欲望のままに様々な変身を遂げます。例えば2本の手だけでは救えないだろうと救いの手を増やした結果が「千手観音」。世界中をもっと見渡してもらおうと顔を増やした結果が「十一面観音」。
ただこれらの観音様はお寺まで行って拝まなければ救ってはくれません。
しかし、アンパンマンのように困っている人のもとまで駆けつけ救ってくれる菩薩もいます。それが「地蔵菩薩」。
しかも地蔵菩薩はダメな人ほど救ってくれると言われます。地蔵菩薩は地獄に落ちた人まで救ってくれるそうです。また親より先に亡くなった子は賽の河原で親不孝の責め苦を受けるそうです。そんな子供たちを地獄の鬼から救ってくれるのが地蔵菩薩なのです。
更に身代わりなってくれるというこで様々な地蔵菩薩が作られました。身代わり地蔵、とげ抜き地蔵、子育て地蔵等々…。
上流階級の人々はきらびやかな観音菩薩に傾倒していくなか、地蔵菩薩はその身近さから庶民のアイドルとなっていきました。
次回は「明王」編です。